【海外在住者は必見!】子どものダブルリミテッドから生じる6つの問題

【海外在住者は必見】 子どものダブルリミテッドから生じる6つの問題気になって調べたこと
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皆さんこんにちは。

突然ですが

「帰国子女のあの人、日本語も英語ネイティブ並みに話せていいなあ。」

って思ったことってないですか?

私はめちゃくちゃそう思っていました。
特に学生の頃、社会人になってからも強く思っていました。

就職に有利ですし、何しろカッコいい!

その憧れの気持ちに全く疑いもありませんでした。

しかしそこには、日本で生まれ育った私含め日本人が経験した事のないような、大きな悩みもありました。

 

「言葉のダブルリミテッド」

この言葉を耳にしたことはありますか?

今回はこの「ダブルリミテッド」についてお話したいと思います。
海外在住の皆さんなら良くご存知だと思います。

 

ダブルリミテッドとはどういう状態か

さて、ダブルリミテッドとはどんな状態のことを指すと思いますか?

Wikipediaによるとこのような説明となります。

二言語の環境で育ち、その両言語において年齢に応じたレベルに達していない者はセミリンガルと呼ばれる。近年は、セミリンガルという言葉が否定的だという意見が増え、ダブル・リミテッドという名称が広まりつつある。ダブル・リミテッドは、日本においては帰国子女や日本に住む外国人児童の間に散見されるため、とくに教育関係者の懸案事項となっており、言語学や教育学の専門家による研究が広く行われている

引用:多言語(Wikipedia)

 

もっと簡単にいうなら、例えば英語と日本語であれば

英語も日本語も上手く使えず、その年齢以下の言語能力になっている状態。

ダブルリミテッドは環境や年齢も関係してくるため、程度は本当に人それぞれです。
具体的には「敬語だけが適切に使えないという」から「日本語の単語単位で・文法単位で使えない」まで、ダブルリミテッドと言われる状態は本当に様々です。

 

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ダブルリミテッドの問題点

ダブルリミテッドの状態では一体何が問題となるのでしょうか。

私が実体験で見聞きしたベースでも、これからお話する多くの問題点が発生します。

問題点1~子どもが高度な英語を学べない

まず最初に来る問題点としては「子どもが高度な英語を学べない」という点です。

「えー?毎日英語喋ってるならまだ子供だし大丈夫でしょ…」
「でもこう見てると英語ペラペラ喋ってるし、何が問題なの?」

って思われる方も多いかと思います。
実際海外に住む前までは私もそう思っていました。

日本人の「英語ネイティブ並み」という誤解

しかしここで大きな見落としがあります。

日本人は英語を母語としないので、英語についての知識があまりないため

「ペラペラ=英語は完璧」

と思ってしまうんですね。
子どもが「どもる」ことなく話せてさえいれば安心してしまう。
海外に住んでいる親も、子供のハキハキ話す姿を見て安心してしまうんです。

語弊を恐れず言ってしまえば、
日本人の思う「ペラペラ、ネイティブ並み」は案外嘘です。

もちろん「ペラペラ喋る」「英語が上手」と言われるレベルには簡単に到達します。
しかしそれは「日本語お上手ですね」というのと変わらないんですね。
日本人同士で「日本語お上手ですね」とは言いませんよね?
このニュアンス伝わりますか?

 

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親から高度な英語を学べない

それではなぜ「子どもがペラペラ話せながら英語力がない」という事になるのでしょうか。

それは子どもがもしペラペラ話せたとしても「本当のネイティブの子どもが持っているべき語彙力・言い回し」を分かっていないからなんです。

それは私達親が非ネイティブである日本人だから。

ここがもう決定的に変えられない事実です。
どう転んでもネイティブの英語話者にはなれないんです。
だから英語ネイティブになるようには、子どもに英語を教えられない。

万が一教えられたとしましょう。
例えば英語の堪能な親御さんなら、ある程度は単語や文法は教えられると思います。

しかし時間的にも、何より質的にも、完全ネイティブの親のそれには完全に負けてしまいます。
ネイティブの子どもは家庭で過ごす中で、もっと高度な語彙力を親から学べるでしょうが、日本人の親ではそれが出来ないか、出来ても「限り」がどうしても出てきてしまいます。

 

日常会話の中での英語の学びが不足する

「子どもの言語形成に大きく影響を与えるのは親」だという事はよく言われています。

親から易しい言葉をまず教わり、大きくなるにしたがって少しづつ家庭でそして社会でもっと高度な言葉を習うということですね。

例えば皆さんもこんな経験ないですか?

「お父さんとお母さんが『ゲップ』って言ってたけれど、何で食事の話じゃないのに『ゲップ』なんて言うんだろう。ものを買う話なのに。

「それを伝えたらお父さんとお母さんは大笑いして『物を買う時にお金が高いと一気に支払えないから、支払いやすくするため、代金を何回かに分けて支払う方法を月賦っていうのよ』って教えてくれた

誰しもが持っているこの経験。
ここで忘れてはいけない大切なことは、
子どもが学ぶ気持ちになるのは「子どもがそうでもしないとマズい状況になる」からです。

上の例だと「親の会話を分かりたい」けれど「分からない」から子どもの心は動かされ「なに?なに?意味を知りたい」という気持ちになるんです。

そこまで子どもの心を動かせる存在は、小さい頃は親以外あまりいないんですね。

ここまで注意を惹きつけられる存在の親の存在。
しかしその親の英語が、そこまで高度なものではない場合、言ってしまえば上記の様な「親の会話からの学習」はまず起こりません。

結果子どもは易しいレベルの英語で安心してしまって、更に高度な言葉を学ぼうという意欲は持ちにくいんですよね。子供によっては関心すら持たない。

こうやって子供は高度な英語を学ぶ機会を失われてしまうんです。
また高度な英語を学ぶ機会が失われるという事は、そこに付随する知識を学ぶ機会も失われてしまう訳です。

 

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問題点2~子どもの学力が低下する

子どもが高度な英語を学べなかったらどうなるでしょう。

まず考えられるのは、現地学校での学力低下です。
まだ10歳くらいまでなら、そこまで大差ないのかもしれません(子供によってはあるのかもしれませんが)、しかしそれ以降になると語彙力の貧困、言葉の理解力の貧困が故に、地元の学校での他教科の理解も追いついていけず、学力が低下するケースが多いです。

ここにダブルリミテッドの問題点があります。

 

実際のケースその1

実際私もこんな話を聞きました。詳しくは下記のリンクにあります。

内容としては、子どもが地元の学校の勉強についていけず、結局日本に行ってしまったそうです(この子どもの日本語力がどの程度なのかは分かりません)。

 

実際のケースその2

実際私もダブルリミテッドの男の子に会った事があります。
その男の子はこんな環境でした。

  • その子のご両親はどちらも日本人
  • ご両親はフルタイムの共働きで日本語は家庭での会話のみ。親から教えてもらうことはなかった。
  • 日本語でも高度な日本語を知る機会もなく、「言葉にはさらに高度な言い方がある」という事も理解出来ず、そのためその概念も持てなかったため、同等の高度な英語も学ぶことも出来なかった。本人曰く「高校の授業が難しくてほとんど理解出来ない。先生の言っている言葉が分からない。」

実際、私はその男の子に日本語で質問したのですが、やっぱり何度か質問を繰り返して伝えないと理解しては貰えませんでした。

「言葉が脳内でまとまった意味として繋がらない、意味をなさない」と言った態度でした。
かといって英語も小学生並みのレベルしか分からないんだそうです。
もちろんこの男の子は一見「ペラペラ」に英語を話します。

語弊のないように伝えておきますが「両親がフルタイム共働き」が問題ではないです。
詳しくは後で述べますね。

 

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実際のケースその3

お笑い芸人の渡辺直美さんもこのように述べています。
この方もダブルリミテッドで学力の伸び悩みを経験しており、それが原因で高校受験に失敗しているそうです。

日本に住んでいながら日本語も台湾語も中途半端で、この世界に入ったのは18歳からですけど、そこから覚えた言葉が今の自分を支えている。それまでは日本語の引き出しが少なすぎて、自分の感情すら何て表現すればいいのかわからなかったり、思っていることを言葉で表現できなかった。自分のお子さんをバイリンガルやトリリンガルにしたいという人もいると思うんですけど、3歳から始めても遅くないんじゃないですかね。やっぱり母語って大事。私は本すら読めなかったんです。読んでるけど、中身が頭に入ってこなくて、だから読書が好きになれず──。

引用:渡辺直美が語る「本当の私」ロングインタビュー

 

ネットでも色々なケースが

これはたまたまツイッターで見かけた内容です。

 

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問題点3~子どもが意見を言う時に適切な言葉を選べない

日本語も英語も満足に話せなかったら、学力以前に人とコミュニケーションが満足に取れません。

コミュニケーションが取れなければ、満足な交友関係を持つことも出来ないですし、心を割って話せる相手が出来にくいということです。
日本にいる日系ブラジル人の多くの子供たちが疎外感を感じるのは、まさにこれが理由です。

 

もっと言ってしまえば、独り言だって満足に言えないんですよね。

「会社の同調圧力が半端ない、すごく窮屈だまじで。」

とぼやきたくても

「会社でいろいろあって…ああ辛い」

くらいしか言えないのは、本人が一番辛いと思います。

 

問題点4~子どもが困った時に相談に乗れない

問題点3にも繋がることですが、子どもが人に分かるように状況が説明出来ないので、親も子どもを助けられない場面も出てきます。

子どもが小さいならまだその悩みも深刻ではない(大人から見て)から大丈夫ですが、
例えば

  • 大学生になり今後の進路を決める段階に来たとき
  • 職業を決める段階に来たとき
  • 仕事で辛い思いをしている時
  • 結婚相手の相談の時

こんな場合、やはり状況も複雑になってくるため、その状況説明も多く必要になります。
しかし子どもがこの状況を上手く説明出来なかったらどうなるでしょうか。

こういう時に、子どもの相談にガッチリと乗れない事が多くなるという事なんです。

確かに大人になれば何でも一人で決めることにはなると思います。
しかし大きくはなったけれど、独り立ちまでにはもう少し時間がかかる頃の青年時代の子どもには、人生の先輩としての親のアドバイスはまだまだ必要ですよね。

私の知り合いでやはりそういう境遇にある親御さんが居て、子どもは英語優勢、自分は日本語という状況です。

子どもの悩む姿は分かるんだけれど、状況が複雑なため日本語で説明を促しても、上手く子どもも言えないし、自分は何が辛いのか分かってあげられない。
そして子どもも「きっと分かってくれないだろうなあ」という気持ちがあり、次第に互いに何も言わなくなったという話を聞きました。

 

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問題点5~子どもがアイデンティティクライシスを起こす

言葉を上手く操れないまま大人になると、社会にもなじめず、その子はアイデンティティクライシスを起こします。

以前その事について記事にしたので、ぜひ読んでみて下さい。きっかけはツイッターでの発言からでした。「アメリカに移民した家族の2世が持つアイデンティティクライシス」について詳しく書いていた方の内容を取り上げさせていただきました。

 

 

 

問題点6~私達親が、年を取った時に第二外国語を忘れてしまうことも

これも避けては通れない問題です。

私たちは英語を外国語として覚えています。
しかしいくら私達が頑張って英語を勉強し、その英語が「ネイティブ並み」になった所で、結局脳内では「英語は母語じゃなく外国語」という位置づけは変わらないんですね。

私たちはいつか年を取って、記憶があやふやになってくる時が必ず来ます。
それでも認知症でなければ、ゆっくりと英語を話すことも出来るかもしれません。

しかし認知症になってしまったら…。

 

この方のツイートが反響を呼び、まとめサイトにも取り上げられていました。

母語しか出てこない...異国で老後を迎えた人の認知症が進行、ネイティブのお子さんとの意思疎通が困難になる話が悲しく切実
まとめました。 更新日:8月9日12時23分

 

こういった問題は、絵空事ではなく、実際私の周りにも起こっています。
きっとその方は若かりし頃は英語も堪能だったのでしょう。

また私の知り合いの中国人の女性も「認知症になった母親と意思疎通が出来ないので困っている。」という話をしていました。その親がニュージーランドに移民したので、母親は中国語が母国語ですが、その女性にとっては英語が母国語で、中国語はほとんど分からないんですよね。

 

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それなら親は今から何が出来るのか

今までダブルリミテッドの問題点についてお話しました。

それでは私たち親としては、子どもに何が出来るのでしょうか?

自分の母語をしっかりと子どもに教える

上でも何度も出てきているのでもうお分かりかと思いますが

「子どもの思考の基本となる母語(私たちの場合は日本語)を教える」

ではないでしょうか。

ここで大切なのは、親が高度な言葉を扱える言語を母語として教えるのが大切という事です。

何故なら日本語ネイティブの私たちが子供に日本語を教えることは、言語問わず言葉の構造を教えることにもなるからです。「日本語学習がひいては英語学習に繋がる」というのが正しくこの理由です。

上でお話したダブルリミテッドの男の子の親御さんは、この意識がなかったんだと推測します。

母語を日本語とした娘のケース

実際のケースとして、我が家の娘の話を紹介します。

最初ニュージーランドにやって来た時、娘はまだ一言も英語を話せない子供でした。
しかしその頃から私は日本語教育を始め、5年強経った今では、娘の英語はトップクラスとなりました。先日クラスで行われた作文コンテストで1位を取りました。

 

また違う例を紹介します。
娘は日本に居た頃は本当に絵本が大好きでした。私も数時間読み聞かせを頻繁にしていましたが、その甲斐あって絵本が大好きな子になったんですね。

ニュージーランドに来てから英語の本は読めませんでしたが、学校に通いだして英語が分かるようになると、今度は英語の本を読み漁り出し、今では英語の本の速読ではクラスで有名になるほどです。

ハリーポッターも英語版と日本語版どちらも読んだ娘は
「それぞれ言葉が違うと描写方法が違うから面白い」と話していました。

これらは確実に日本語の力が英語力を押し上げた証拠です。
もし私が堪能な日本語じゃなく、不十分な英語を教えていたら、娘は言語の仕組みについてここまで深くは理解出来なかったでしょう。

 


最後に「親が母語を教えることの重要性は、日本だけではなく海外でも言われている」という証拠として、下記のリンクを紹介します。

 

 

親御さんは完璧を目指さなくていいと思います。

けれど子どもをダブルリミテッドにしないように、出来るかぎり親は応援してあげたいですよね。
家庭には家庭のやり方さじ加減があると思うので、親がこれだと思う方法で子どもに働きかけてあげると良いかなと思います。

これが最後まで読んで下さった方の参考となりますように。

 

コメント

  1. 本帰国しました より:

    渡辺直美さんは、IQが低いことをカミングアウトされています。
    それがダブルリミテッドの原因だろうとのこと。
    ダブルリミテッドの子が、もしモノリンガルの環境であったとしても、
    国語が苦手だった可能性は、多いにあるのでは無いでしょうか。
    ダブルリミテッドは、環境というよりも、その人の特性(IQやDL)だと
    思うのですが、いかがでしょう。

    うちの子供は、小6まで学校が英語の環境(インターと現地校)
    だったのですが、ダブルリミテッドと思しき子が、何人も周りにいました。
    その中で、ダブルリミテッドでも構わない、むしろ選んだという方が
    複数いました。その方たちがおっしゃるには、「うちの子は日本だと、
    特別支援学校か通教だと思う。おそらく国語も苦手だろうから、
    それなら、英語も日本語もどっちも苦手の方が、世界が広がると
    思っている」とのことでした。目から鱗でした。(ただ個人的には、
    日本人として生きていくのなら、日本語モノリンガルの環境の方が、
    本人の負担という点では、良いのではないかなぁという気がします。)

    • 陽花里陽花里 より:

      コメントありがとうございます。

      IQについては詳しい知識を持っている訳ではないのですが、IQとダブルリミテッドが「必要十分条件」の関係にあるとは、やっぱり考えにくいかなと思います。
      と言うのは「IQ が低い子どもはダブルリミテッドの可能性が高い」のかもしれませんが「ダブルリミテッドの子どもが全員IQ が低い」とは経験上思えないからなんですね。
      だからこそダブルリミテッドと言われる人の日本語力・英語力の程度が、その環境によりそれぞればらつきが出て来るのかなと思います。

      仰るようにIQが低いなら学習に障害が出るのかもしれません。しかし渡辺直美さんは二ヶ国語を幼少期に一生懸命覚えたことで、「地頭が良い」という状態になっている事を見るかぎり、この2つは切り離して考えるべきところはあるかなと私は思います。

      IQの低さから起こってくるダブルリミテッドはとても興味深い話でした。
      何よりその親御さんの想いは十分理解出来るものですし、私がもしその親御さんなら、同じ事をしていたかなと思います。

      私も本帰国しましたさんと全く同じで、日本に住むならモノリンガル環境で、その言葉を大きな軸として勉強するのが一番だと思います。
      負担かどうかはその子どもにより違ってくるかと思いますが、何しろ大きな軸があればそこから他の言語を学べますしね。
      (日本の英語早期教育は方法によってはいいかなと思いますが、日本の文部省が推し進める英語がどの程度なのかなと思うと少しの不安もあります)

      貴重なお話、ありがとうございました^^

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